読書感想:乃南アサ「風の墓碑銘(エピタフ)〈上〉〈下〉―女刑事 音道貴子 (新潮文庫)」
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ミステリを手にしてしまうと、現実社会に帰ってくるのが困難になるので、なるべく手にしないようにしていたのだが、Audibleは「読む」ではなくて「聞く」なので、長距離ドライブの時だけということでまぁいいかという感じだったのだ。 しかし、わたしは定期的に長距離ドライブをする人ではないので、ちょうどいい感じの時に目的地に着いてしまい、ウームどうしよう……という時があるのが困った。 乃南アサさんというよりも、実は乃南アサさんの表現する音道貴子という女性刑事にとりつかれてしまっているところがある。Audibleで聴くにはいい感じの短編もあったのだが、つい、長編小説鎖を読んでしまった。 それが運の尽き。
音道貴子刑事が主人公で登場する長編小説は、もう一人、滝沢というなんとも、魅力的なペンギンというかアザラシキャラが登場する。と書くとなんだか、面白いキャラなのかと思うかもしれないが、よくある中年(というか壮年入口)、ベテランの腕利きではあるが、太って、髪の毛が薄い、いかにも刑事という感じのキャラクターである。 この二人の関係、やりとりが興味深い。
この興味深いやりとりの中で、二人とも、刑事としての仕事を一生懸命全うしようとするところ、正義感をしっかり胸に抱いているところがこのシリーズの読んでいて、スッキリ、気持ちよくなるところだろう。
取り上げるテーマはいろいろと「重い」ものなのだが、この二人の一生懸命に生きるところが、物語の質の高さを保障している。
この続き、読んでみたいなあ。